このシナリオでは、2020年の新型コロナショックでエネルギー株ETF(XLE)が2月高値から約**-56%暴落し、その後ワクチン進展と経済再開期待で底から約2.2倍へ反発した値動きを、チャート上の6つの出来事に分解します。マーカーは色が所属する軸(外部=アンバー / 内部=エメラルド / テクニカル・需給・心理=バイオレット)、ラベルが出来事の内容を表します。このシナリオの最大の特徴は、値動きのほぼすべてが外部要因(地政学・商品市況・マクロ)**で説明できる点——『内部要因(個社の決算)が主役にならない』という偏りそのものを学びにします。
コロナ需要懸念で世界株安 — エネルギーも崩れ始める
2020年2月下旬、新型コロナの中国外への拡大が鮮明になり、世界の株式市場が急落しました。エネルギー株は「移動・経済活動が止まれば石油需要が消える」という連想で真っ先に売られ、XLEは1月の高値から下落基調に入り、2/27は約**-5%、出来高も平常時の数倍に急増しました。暴落の起点は産油国の価格戦争ではなく、その前段にあったマクロ(需要・景気懸念)**だった点が重要です。
出典: CNBC (2020-02-24)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
OPEC+協議決裂・サウジの価格戦争 — XLE約-20%
3月6日、ウィーンでのOPEC+減産協議でロシアが追加減産を拒否して決裂。週末にサウジアラビアが大幅な値引きと増産(過去最高水準)を表明し、シェア争いの価格戦争に突入しました。需要が細るなかでの増産は供給過剰を決定づける最悪手で、週明け3/9のXLEは約**-20%暴落、原油は1991年以来の下落率を記録しました。コロナ(需要ショック)と価格戦争(供給ショック)が同時に襲った、純粋な外部(地政学)ショック**です。
出典: CNN Business (2020-03-08) / Wikipedia
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
ロックダウンの底 — XLE期間最安値(高値から約-56%)
3月中旬、世界各地でロックダウンが本格化し、人と物の移動が止まって石油需要が蒸発しました。XLEは3/18に終値ベースの期間最安値(年初比約**-60%、2月高値比約-56%**)まで売られました。エネルギー株は2020年初からすでに割安とされていましたが、需要そのものが消える局面ではバリュエーションの下値メドが効かないことを示します。FRBの緊急ゼロ金利・量的緩和も、需要が消えた石油には即効薬になりませんでした。
出典: CNBC (2020-03-18)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
OPEC+史上最大の協調減産合意 — だがXLEはほぼ無反応
4月12日、OPEC+が史上最大規模となる日量970万バレルの協調減産で合意しました。供給過剰を是正する強力な好材料のはずですが、週明けのXLEはほぼ横ばいにとどまりました。供給を絞っても、ロックダウンで需要そのものが消えていれば価格は支えられない——需給は「弱い側」が価格を決めます。「材料が出た=上がる」ではないことを示す、需給の本質をとらえたイベントです。
出典: CNBC (2020-04-12) / CNN Business (2020-04-12)
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 4
WTI原油先物が史上初のマイナス価格(-$37.63)— だがXLEは約-3%
4月20日、WTI原油先物(5月限)が取引開始以来初めてマイナス圏に沈み、-$37.63で決済されました。受け渡し地クッシングの貯蔵能力が限界に近づくなか、現物の引き取りを嫌った保有者が「お金を払ってでも手放す」投げ売り(限月ロール)に走ったためです。しかし当日のXLEの下落は約**-3%にとどまりました。マイナス価格は先物市場特有の現象**であって、エクソンやシェブロンの株価が-100%になったわけではありません。先物連動の商品(USO等)と株のETF(XLE)を混同しないことが、このシナリオ最大級の学びです。
出典: NPR (2020-04-20) / CFTC (2020-11-23)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8
ファイザーのワクチン報道 — バリュー回転でXLE約+14%(期間最大の出来高)
11月9日、ファイザー/ビオンテックが新型コロナワクチンの有効性90%超を発表。経済再開=石油需要回復の連想で、最も売り込まれていたエネルギー・金融などのバリュー株へ一気に資金が回転(ローテーション)しました。当日のXLEは約**+14%急騰し、本シナリオで最大の出来高を記録しています。ただしこの急騰自体は「きっかけ」であり、回復の主役は実際の需要の戻りです。これ以降、経済再開とリフレ(インフレ)期待を追い風に、XLEは底から約2.2倍**へと回復していきました。
出典: CNBC (2020-11-09) / World Economic Forum (2020-11-09)
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 6