このシナリオは「外部要因(構造政策・マクロ金融)が主役」の教材だ。2022年に米国史上最大の再エネ補助法(IRA)が成立しながらも、同時期に進んだ高金利(FOMCの75bp連続利上げ)がソーラーETFの大局を決め、補助金と金利という二つの外部力の綱引きを価格変動として観察できる。各イベントを読む際は「この動きを引き起こした外部要因は何か」を最初に問うこと。
CPI 9.1%ショック——FOMCの75bp利上げ加速を市場が確信
2022年6月13日、前週発表の5月CPI(前年比+8.6%)に続き、市場では6月のFOMCで75bpの大幅利上げが確実視された。国債利回りが急騰し、将来キャッシュフローへの依存度が高い太陽光セクターが真っ先に売られた。TANは**-6.28%**と急落し、この日の出来高は通常の1.3倍に膨らんだ。ソーラーが「インフレ→金利→割引率」という連鎖に対して特に脆弱なセクターであることを市場参加者が再確認した場面。
出典: Federal Reserve (2022-06-15)
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Manchin-Schumer IRA合意発表——ソーラーに巨額補助金が確定へ
2022年7月27日、上院民主党指導部とマンチン議員が$3,690億の気候投資を含む「インフレ抑制法」の合意を電撃発表。太陽光への投資税額控除30%を2032年まで延長することが確実となり、TANは同日**+6.14%、翌28日にはさらに+7.51%**(出来高4.6倍)と急騰した。何ヶ月もの交渉が決着したことで、「不確実性プレミアム」が一気に剥がれた典型例。個別ではSunrun+33%、SunPower+12%など住宅ソーラー株が特に大きく動いた。
出典: CNBC (2022-07-28) / Bloomberg (2022-07-28)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8
TAN高値89.60ドル——IRA上院通過+7月CPI低下でピーク形成
2022年8月7日にIRAが上院を51-50で可決(副大統領の決裁票)し、8月10日にはTANが期間中の最高値89.60ドルを記録した。同週発表の7月CPI(前年比8.5%)も予想を下回る鈍化を示し、「IRA確定+インフレピークアウト」という二重の追い風が重なった。高値圏では、IRAに関する全ての良いニュースが出尽くしたことも意味しており、その後は反落に転じた。
出典: CBS News (2022-08-07)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8
バイデン大統領がIRAに署名——30%投資税額控除が法律として確定
2022年8月16日、バイデン大統領がIRAに署名し米国史上最大の気候投資法が成立。しかし市場はすでに7月末の合意発表でほとんど織り込んでいたため、署名当日の反応は比較的穏やかだった。Buy the rumor, sell the newsの典型で、合意報道(-0.33日)の急騰に比べ、法律確定は追加の上昇をほぼ生まなかった。ただし長期的な事業採算の不確実性を除去したことの経済的意義は本物で、プロジェクト融資の前提条件が変わった。
出典: CNN (2022-08-16) / White House (2022-08-16)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8
10月CPI 7.7%(予想下回る)——FRBピボット期待でTAN+9.24%急騰
2022年11月10日発表の10月CPIが前年比7.7%と予想7.9%を下回り、S&P500が+5.5%(2年ぶりの急騰)、TANは**+9.24%**(出来高2.4倍)と期間中最大の一日上昇率を記録した。10年国債利回りが約-30bpと急低下し、太陽光の長期DCFの割引率改善が株価に直接跳ね返った。「FRBが利上げペースを緩める」という期待だけで、この規模の動きが起きることは、ソーラーETFがマクロ依存型であることの証拠。
出典: Yahoo Finance / AP (2022-11-10) / CNBC (2022-11-10)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
Enphase弱ガイダンス——高金利による住宅太陽光需要失速を業界が確認
2023年4月25日引け後、Enphase EnergyがQ1実績は好調だったにもかかわらずQ2ガイダンスを市場予想から約8%下方修正。「米国市場での需要失速は高金利が原因」と明示し、TANは翌4月26日に**-5.51%**(出来高2.1倍)急落。IRAが補助金を確定しても、金利5%超の住宅ローン環境では消費者の月次支払い負担が増え、導入意欲が落ちることが実数として確認された。補助金と金利の綱引きで、この局面は金利が勝ったことを業界の主要企業が証言した場面。
出典: OilPrice.com / Reuters (2023-04-26) / SEC EDGAR (2023-04-25)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 2
Fitch米国格下げ+SolarEdge急落——TAN -5.49%の急落
2023年8月1日にFitchが米国の長期信用格付けをAAAからAA+へ格下げ。長期国債利回りが上昇し、翌8月2日に株式市場全体が下落。TANは**-5.49%**(出来高2.5倍)の急落となった。さらに同日引け後のSolarEdgeの悲観的な業績ガイダンスが重なり、SolarEdge単体は-18%超の急落。格下げというマクロ構造イベントと業界固有のネガティブサプライズが重なったこの日は、ソーラーETFが持つ「マクロ感応度×業界固有リスク」の両面が同時に発火した。
出典: CNBC (2023-08-01) / The Motley Fool (2023-08-03)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8