このシナリオでは、わずか約2か月で弱気相場の縁まで急落し、その後完全回復したS&P500(SPY)の値動きを、6つの出来事に分解します。チャート上のマーカーは色が所属する軸(外部=アンバー / 内部=エメラルド / テクニカル・需給・心理=バイオレット)、ラベルが出来事の内容(関税発表・90日停止・最高値など)を表します。各マーカーは、下の同じ日付の解説と対応しています。主役は一貫して**外部要因(政権の関税方針)**で、ニュース1本で需給と心理が一変する『政策相場』の典型例です。
『Liberation Day』相互関税の発表 — 翌日から史上最大級の急落
4月2日の立会終了後、トランプ政権が大統領令14257で全貿易相手国へ最低10%、一部の国にはより高い相互関税を課す『Liberation Day』を発表しました。広く高い関税は企業の利益率・景気・インフレに直接効く逆風で、翌4月3日のSPYは**-4.9%。引き金は決算でも金利でもなく、政権の関税方針という外部(地政学・政策)要因**でした。NVDAが決算(内部要因)主導だったのと好対照で、「何が株価を動かしているか」の主役は局面ごとに変わることを示す起点です。
出典: Wikipedia / NPR (2025-04-03)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
中国の報復関税で全面戦争懸念 — 2日間で約-10%、6.6兆ドル消失
4月4日、中国が米国製品に34%の報復関税を発表。これにより「一国の関税」が「貿易戦争」へと格上げされ、不確実性が一段跳ね上がりました。SPYはこの日**-5.9%で、4/3とあわせ2日間で約-10%——時価総額にして6.6兆ドル超が消えた史上最大級の2日間下落**です。VIXは45超へ急騰し、恐怖そのものが追加の売りを呼ぶ(外部要因がテクニカル・心理軸を通じて増幅される)展開でした。
出典: Wikipedia / Bloomberg (2025-04-07)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
フェイク『90日停止』報道で日中乱高下 — ヘッドライン・リスク
4月7日、「TRUMPが中国を除く全相手国への90日関税停止を検討」という未確認ヘッドラインが報じられ、株価は日中に4%安から一時プラス圏へ急騰しました。しかしホワイトハウスがこれを「fake news」と否定すると値は元に戻り、終値はほぼ横ばい(3日続落)。政策相場ではヘッドライン1本で日中に大きく上下し、誤報と分かると巻き戻る——ニュースのスピードに判断が追いつかず、当てにいくほど振り回される局面の典型です。この日VIXは一時60を超えました。
出典: Investing.com (2025-04-07) / Macroption
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 6
90日関税停止を発表 — +9.5%、2008年以来最大の1日上昇でV字反発
4月9日、トランプ大統領が中国を除く相手国への相互関税を90日間停止すると発表(中国に対してはむしろ125%へ引き上げ)。S&P500は**+9.5%(SPYは調整後ベースで+10.5%)と、2008年以来最大の1日上昇でV字反発しました。下落と同じく反発の引き金も外部材料(政策転換)ですが、これを増幅したのは悲観の極からのショートカバー(買い戻し)**と押し目買いという需給・心理です。底も天井も後からしか分からず、当時は「政権が折れる」という予測困難な政治判断に賭ける形でした。
出典: CBS News (2025-04-09) / CNN Business (2025-04-09)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
米中ジュネーブ協議でデエスカレーション — +3.3%、戻り+20%超に
週末にスイス・ジュネーブで行われた米中協議で、両国が相互関税を90日間大幅に引き下げる(米→中30%、中→米10%)と発表。週明け5月12日のSPYは**+3.3%上昇し、4月の安値からの戻りが+20%超**に達しました。反発を確かにしたのもまた外部要因(貿易の緊張緩和)で、政策相場では「合意」そのものが主役。企業業績はこの局面でも脇役にとどまりました。
出典: The Washington Post (2025-05-12) / CNBC (2025-05-12)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
S&P500・ナスダックが最高値更新 — 関税ショックから完全回復
6月27日、S&P500とナスダック総合が終値で史上最高値を更新。2月19日以来の高値で、4月の関税ショックからの完全回復を確認しました。約2か月で-20%近い急落と完全回復という極端な往復で、最高値更新という節目は心理の転換を象徴します。ただしこれは結果論——当時の弱気の主張(関税は長期化し、スタグフレーションに陥る)にも根拠はあり、回復は最初から自明だったわけではなく、確率的にしか語れませんでした。
出典: NPR (2025-06-27) / CNN Business (2025-06-27)
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 6