このシナリオでは、約7か月でS&P500(SPY)が史上最速で約-34%暴落し、半年で最高値を回復した「コロナ・ショック」を、チャート上の7つの出来事に分解します。主役は個別企業の決算ではなく、**パンデミック(外部)と金融・財政政策(マクロ)**という指数全体を揺らす力です。マーカーは色が所属する軸(外部=アンバー / 内部=エメラルド / テクニカル・需給・心理=バイオレット)、ラベルが出来事の内容を表します。各マーカーは下の同じ日付の解説と対応します。
コロナ前の史上最高値 — 楽観の頂点
2020年2月19日、S&P500は史上最高値(指数3,386)で引けました。約11年続いた強気相場、低金利、堅調な雇用が背景で、新型コロナはまだ『遠いアジアの問題』と楽観視されていました。この楽観の頂点が、結果的にこの後の史上最速級の暴落の出発点になります。最高値の更新そのものが下落の引き金ではありませんが、リスクが意識されていない時ほど市場は外部ショックに無防備です。
出典: The Motley Fool (2021-02-19) / Wikipedia
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 6
感染の世界的拡大で急落本格化
2月下旬、イタリアや韓国などで感染が急拡大し、「中国だけの問題」から「世界的流行」への懸念が一気に高まりました。2月24日、SPYは約**-3.3%下落し、ここから本格的な売りが始まります。きっかけは決算でも金利でもなく感染ニュース**——個別企業の努力では避けられない外部(地政学・パンデミック)要因が、指数全体を一斉に押し下げ始めた局面です。
出典: Wikipedia
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
ブラックサーズデー — WHOパンデミック宣言の翌日に暴落
3月11日、WHOが新型コロナを「パンデミック」と正式に宣言。これが「一過性ではない」との確証となり、約11年の強気相場は終了しました。翌3月12日、SPYは約**-9.6%**と1987年以来の急落(ブラックサーズデー)。-7%でレベル1のサーキットブレーカー(取引一時停止)が発動し、**売りが売りを呼ぶパニック(テクニカル・心理)**が外部ショックを増幅しました。
出典: NBC News (2020-03-11) / CNBC (2020-03-12)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
最大の下落率 — サーキットブレーカー連発の極み
ロックダウンが各国に広がる中、3月16日にSPYは約**-10.9%と暴落。これでサーキットブレーカーは2週間で4回目**(3/9・12・16・18)となりました。VIX(恐怖指数)は80超の記録的水準へ急騰し、現金化を急ぐ投げ売りで安全資産まで売られる流動性逼迫が発生。個別の悪材料ではなく、市場全体が機能不全寸前に陥ったセンチメント・需給の極限です。
出典: StockTitan / The Washington Post (2020-03-23)
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 6
底打ち — FRBが『無制限』の資産購入を表明
3月23日、FRBは国債・MBSを「必要なだけ」購入すると表明し、初めて社債ETFの購入にも踏み込みました。実体経済が急速に悪化する最中でしたが、SPYの終値はこの日が底(2/19比 約**-34%)。底を作ったのは企業業績ではなく政策**でした。中央銀行の「無制限」という姿勢が市場機能を下支えし、恐怖から強欲へとセンチメントを反転させます——「Don't fight the Fed」を象徴する一日です。
出典: CNBC (2020-03-23) / NPR (2020-08-18)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
歴史的反発 — CARES法協議の進展で急騰
底打ちの翌日、約2.2兆ドルの大型財政刺激策(CARES法)の合意期待で、SPYは3月24日に約**+9.1%と急騰しました(3/27に成立)。無制限QE(金融)に続くCARES法(財政)**という戦後最大級の刺激策が、業績の裏付けがない中でもV字反発を加速させます。金融+財政の同時投入が需給と心理を一気に好転させた、外部・マクロ主導の反転の典型です。
出典: CNBC (2020-03-27) / Wikipedia
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
V字回復完了 — 半年で史上最高値を回復
8月18日、SPYは2月19日の高値を回復し最高値圏へ。底(3/23)から約**+50%という、歴史上最速級の回復でした。失業率が4月に約14.7%へ急騰する実体経済の悪化を尻目に**進んだ「金融相場」です。ただしこの回復は在宅需要の大型ハイテク主導で、ベンチマークのQQQ(NASDAQ100)は同期間にSPYを大きく上回りました。指数の最高値は『全銘柄の回復』を意味しない——数字の裏の中身を見る視点が問われます。
出典: Nasdaq (2020-08-18) / CNBC (2020-08-22)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8