このシナリオは、2018年9月〜2019年1月のS&P500(SPY)の値動きを通じて、金融政策(FRBの利上げと量的引き締め)という外部要因が株式市場全体をいかに支配したかを学ぶ教材だ。チャートに表示されたイベントマーカーと価格の動きを照らし合わせながら、各イベントの解説を読んでほしい。
パウエル『a long way from neutral』発言——利上げ終わりは遠い
2018年10月3日、パウエルFRB議長はPBSのジュディ・ウッドラフとのインタビューで「政策金利は依然として中立水準から遠い(a long way from neutral)」と発言した。この一言が市場の利上げ期待を大きく書き換え、10年国債利回りが3.23%と2011年以来の高水準へ急騰。株式の割引率が上昇し、翌週からS&P500の本格的な下落が始まった。外部要因の中でも金融政策という軸がいかに強力かを示す出発点となった。
出典: CNBC (2018-10-03) / Bloomberg (2018-10-03)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
10月急落第1波——10年金利3.23%・IMF成長見通し下方修正
10月10日にS&P500は-3.17%急落し、翌11日も-2.2%の続落となった。10年国債利回りの高止まりに加え、IMFが米国・中国の2019年成長見通しを引き下げ、欧州ではイタリア財政問題が再燃した。これらの外部要因は互いに独立しているが、同時に重なることで市場の地合いを悪化させた。マクロ要因が複合するとき、個別株の好決算でもETF全体の下落を止めることは難しい。
出典: CNBC (2018-10-10) / CNBC (2018-10-31)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
イールドカーブ逆転+トランプ『Tariff Man』発言で-3.24%
12月4日、2〜5年国債の逆転という2007年以来のイールドカーブ逆転が発生した。同日トランプ大統領が「自分はTariff Man(関税男)だ」とツイートし、G20での米中貿易休戦への疑念が拡大。ダウ799ポイント下落、S&P500は-3.24%となった。景気後退のシグナル(金融的外部要因)と地政学的不確実性(貿易政策)が同日に重なった複合ショックだった。
出典: NPR (2018-12-04) / Washington Times (2018-12-04)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
FOMC 12月利上げ+QT自動操縦宣言——年内最安値へ
12月19日のFOMCで2018年4度目の利上げが決定された(FFレート2.25〜2.50%)。利上げ自体は市場が織り込んでいたが、パウエルが会見でQTを「自動操縦(on autopilot)」で継続すると明言したことが市場を大きく失望させた。市場が望んでいたのは『柔軟性のあるFRB』だったが、得られたのは真逆のシグナルだった。 ダウは350ポイント超急落し、S&P500は翌週12/24に期間最安値を更新した。
出典: Federal Reserve (2018-12-19) / CNBC (2018-12-19)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
クリスマス底から翌日+5.05%——史上最大の1日上昇幅
12月24日(クリスマスイブ)のSPYは210ドル台(期間最安値)まで売られ、S&P500は高値から約20%下落しベアマーケット圏(日中)に達した。翌26日には+5.05%と史上最大の1日上昇幅を記録した。マスターカードによる好調なホリデー商戦報告と過売り水準からのバーゲンハントが背景だが、FRBの姿勢は変わっていなかった。このリバウンドは外部要因(FRBスタンス)の変化を伴わない短期的な需給の揺り戻しだった点に注意。
出典: CNBC (2018-12-26) / VOA News (2018-12-26)
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パウエル『patient』発言——FRBのハト転換を市場が確認
1月4日、パウエルFRB議長がアトランタのパネル討論で「利上げに当たって忍耐強く(patient)あり続ける」と発言し、QTについても柔軟な対応が可能と示唆した。12月の「自動操縦」発言を事実上撤回するもので、S&P500は+3.35%急騰した。この発言が真の底入れの根拠となった——外部要因の変化(FRBの姿勢転換)が確認されて初めて、リバウンドが持続的な回復へと移行した。
出典: CNBC (2019-01-04) / Investing.com (2019-01-04)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
1月FOMC声明——『patient』を明記し利上げ停止を制度化
1月30日のFOMC声明は政策金利を据え置き、声明文に「patient」を明記し、従来の「further gradual increases(さらなる漸進的な引き上げ)」という文言を削除した。これは利上げサイクルの事実上の停止宣言であり、1月4日のパウエル発言を公式文書として追認した。単語の追加と削除だけで、市場の利上げ期待が大きく書き換えられる——FOMCの声明文は投資家にとっての一次資料として、発表のたびに精読する価値がある。
出典: Federal Reserve (2019-01-30) / Federal Reserve (2019-01-30)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3