このシナリオは、特定の決算ではなく**『投資ストーリー(テーゼ)そのもの』が揺らいだ時に株価がどう動くか**を学ぶ題材です。主役は半導体ETF(SMH)で、テーマ全体に効く外部ニュースが、業績が良い会社まで一斉に動かす様子を観察します。チャート上のマーカーは色が所属する軸(外部=アンバー / 内部=エメラルド / テクニカル・需給・心理=バイオレット)、ラベルが出来事の内容を表し、下の同じ日付の解説と対応します。
DeepSeekショック — 半導体ETFが約5年ぶりの大幅安
週末に話題化した中国DeepSeekの推論モデル「R1」は、従来想定よりはるかに低コスト・少ない計算資源でフロンティア級の性能を実現したと主張されました。市場が突きつけられたのは「もしそうなら、GPUを際限なく積み増すというAI設備投資(capex)の前提は過大ではないか」という問いです。週明け1/27、SMHは期間最大の出来高(約2,190万株)を伴って**約−9.8%のギャップダウン、約5年ぶりの大幅安となりました。NVIDIA単独では−17%・約5,890億ドルの時価総額が1日で消失(米史上最大の単日損失)、Nasdaqも約−3.1%。重要なのは、これが個別企業の業績悪化ではなく“投資ストーリーへの疑念”**で起きたこと。株価は実数だけでなく前提を織り込んでおり、前提が揺らぐと良い会社でも一斉に売られます。
出典: CNBC (2025-01-27) / NBC News (2025-01-27) / IG (2025-01-28)
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 6
いったん下げ止まるも、反発は限定的
急落の翌日以降、SMHはテクニカルな反発を見せ、1月末にかけて1/27終値235.1から1/31終値242.9へ**約+3.3%**戻しました。しかし急落前の水準(260ドル台)には届かず、戻りは限定的です。パニック的な急落の直後は短期のリバウンドが出やすいものの、テーゼが揺らいだ局面ではV字回復になりにくい(戻り売り)。「下げ止まった=危機終了」と早合点せず、前提への疑念が残る限り上値は重い、という需給・心理の読みが要ります。
出典: Seeking Alpha (2025-01-27)
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 5
NVIDIA好決算+Huangの反論 — それでも翌日は下落
2/26引け後、SMH最大の構成銘柄であるNVIDIAがQ4(FY2025)決算を発表。売上は前年比**+78%、データセンターも好調で、JensenHuangは「投資家はDeepSeekを誤読した。推論・エージェント型AIはむしろ計算需要を増やす」と正面から反論しました。当事者のファンダは悪化どころか圧巻です。ところが翌2/27のSMHは約−6.2%(NVIDIA個別は約−8%)。期待が厚く織り込み済みのうえ、DeepSeek以降のテーゼへの懐疑が消えていなかった**ため、good newsでも上値が重くなりました。“正しい反論”と“株価の回復”は別物で、市場の疑念が解けるには時間と追加の証拠が要ることを示す一日です。
出典: NVIDIA Newsroom (2025-02-26) / NBC News (2025-02-26)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
関税懸念が重なり調整が続く — V字回復はしなかった
2月後半から3月にかけては、米国の関税方針をめぐる不確実性がサプライチェーン・需要不安となり、テック・半導体セクター全体に逆風が重なりました。SMHは3/10に終値213.9まで下落し、DeepSeekショック後の安値を更新。悪材料は一度では終わらない——心理ショック(DeepSeek)に外部マクロ要因(関税)が重なって、セクターをさらに押し下げました。期間末(3/28)のSMHは年初比でなお**約−13%**でV字回復せず。3軸は「どれか1つ」ではなく重ね合わせで効き、外部要因は連続して降ってくることがある、というのが締めの学びです。
出典: CNBC (2025-04-07) / The Motley Fool (2025-03-07)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3