このシナリオでは、2023年の1年間で株価が約+61%(S&P500の約+27%を大幅に上回る)となったイーライ・リリー(LLY)の値動きを、チャート上の6つの出来事に分解します。チャート上のマーカーは色が所属する軸(外部=アンバー / 内部=エメラルド / テクニカル・需給・心理=バイオレット)、ラベルが出来事の内容(決算・治験・承認・調整など)を表します。各マーカーは、下の同じ日付の解説と対応しています。製薬株ならではの『決算』『治験データ』『FDA承認』という3種のカタリストが、どのように積み上がって株価を押し上げたかに注目してください。
Q4 2022決算 — Trulicity未達で下落
2月2日、第4四半期(2022年)決算を発表。売上は前年同期比**-9%で、糖尿病薬Trulicityの売上(約19.4億ドル)が市場予想(約21.3億ドル)を下回りました。当日は出来高を伴って終値ベースで約-3.5%**(場中は一時約-6.6%)下落。年間で大きく上昇する銘柄でも、年初は既存薬の鈍化という内部の悪材料で下げる局面があったことを示す出発点です。
出典: The Motley Fool (2023-02-02) / SEC EDGAR (2023-02-02)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
donanemab(アルツハイマー薬)第3相で好結果 — +6.7%
5月3日、アルツハイマー病治療薬donanemabの第3相試験「TRAILBLAZER-ALZ 2」で、認知・機能の低下を35%遅らせたという好結果を発表しました。難治のアルツハイマーで明確な有効性を示したことが評価され、当日は出来高を伴って約**+6.7%**上昇。製薬株が決算外の「治験データ」という独自のカタリストで大きく動く典型例です。一方で、この薬は脳浮腫・出血という安全性リスクも併存しており、好データが無条件の朗報とは限らない点も押さえておきます。
出典: CNBC (2023-05-03) / Eli Lilly IR (2023-05-03)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
Q2決算 — Mounjaro急成長と肥満症データで+14.9%
8月8日、第2四半期決算を発表。売上は前年比**+28%、糖尿病薬Mounjaroの売上が約9.8億ドル**(前年同期の約1,600万ドルから急増)に達し、通期ガイダンスも引き上げ、肥満症治験「SURMOUNT-3/4」の好データも示されました。Mounjaroの爆発的成長・ガイダンス引き上げ・肥満症データという三重の好材料が重なり、当日はこの年の最大級の出来高を伴って約**+14.9%**のギャップアップで上放れました。本シナリオで最大の値動きであり、「物語」ではなく「実数」が伴った内部要因主導の上昇の核心です。
出典: CNBC (2023-08-08) / Eli Lilly IR (2023-08-08)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
Q3決算 — Mounjaro約14億ドル、売上+37%で続伸
11月2日、第3四半期決算を発表。売上は前年比**+37%(Zyprexaの権利売却益を含む)で、Mounjaroの売上は約14億ドルへさらに拡大し予想を上回りました。当日は約+4.7%**上昇。会計上のEPSは買収関連費用で振れましたが、市場は主力薬の売上トレンドを評価しました。決算では「どの数字を市場が見ているか」を読むことが重要だと分かる場面です。
出典: CNBC (2023-11-02) / Eli Lilly IR (2023-11-02)
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肥満症薬Zepbound FDA承認 — 当日最高値、翌日は反落
11月8日、FDAが肥満症治療薬Zepbound(チルゼパチド、Mounjaroと同成分)を承認しました。肥満症薬の正式承認は最大級の節目で、当日は約**+3.2%上昇し、終値607ドルで年間最高値を更新。ところが翌9日は約-4.5%**下落しました。期待が相当織り込まれていたため、承認“後”に利益確定の「材料出尽くし(sell the news)」が出た形です。承認=必ず上昇ではなく、織り込み度との比較が鍵——内部主導の到達点であると同時に、過熱を測る場面でもありました。
出典: Eli Lilly IR (2023-11-08) / Drugs.com (2023-11-08)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
高値後の短期調整 — 約-4%の下げ
11月8日に付けた最高値(607ドル)から、12月20日には560ドルへ約**-8%調整し、途中の12月14日には約-4%**の下落を挟みました。明確な悪材料がなくても、過熱の解消や利益確定でこうした押しは起きます(テクニカル/需給)。年間+61%という強い上昇トレンドの最中でも一本調子ではなく、こうしたドローダウンに耐える前提が必要だと示すイベントです。方向が正しくても、サイズと耐性がなければ握り続けられません。
出典: Yahoo Finance
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 5