このシナリオでは、中国共産党・政府が2021年前半に矢継ぎ早に断行した規制施策がどのようにKWEBの株価を形成したかを、時系列で解説する。各イベントは実際の規制発令・当局の声明・官製メディアの報道に基づいており、企業の内部要因(業績)ではなく**構造的な外部要因(政策転換)**が主役となっている。
中国当局がプラットフォーム経済に関する独禁指針を発効
2021年2月7日、SAMRが「プラットフォーム経済分野の独禁指針」を正式施行。デジタル企業の市場支配的地位の濫用・アルゴリズムを使った差別的価格設定・排他的取引(二択一)を明示的に禁止した。アリババへの調査が既に進行中であり、この指針は業界全体への規制強化を制度として明文化するシグナルとなった。KWEBは2月17日に期間高値(86.47ドル)をつけた後に下落トレンドへ転換する。
出典: CMS Law (2021-04-10)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8
米長期金利急騰でグロース株急落——KWEBも連鎖売り-7.7%
2月〜3月、米10年国債利回りが1.0%→1.7%近辺へ急上昇。高PER・高成長株全般に売りが波及し、KWEBは2021-03-08に-7.7%を記録した。中国規制リスクに加え、マクロの逆風(割引率上昇)が重なった局面。3月9日には+8.5%と大きく反発したが、これは債券利回りの一時的な低下と売られ過ぎからの技術的な戻しにとどまった。
出典: TechCrunch (2021-04-09)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
SAMRがアリババに182億元の独禁罰金——中国史上最大の制裁
4月10日(現地時間)、SAMRがアリババに対し182億元(約28億ドル)の罰金を科した。中国独禁法史上最大の制裁で、2019年売上の4%に相当する。排他的取引の即時停止命令も同時に発令。KWEBはいったん反発(不確実性解消を好感)したが、規制サイクルは続くとみた売り圧力が再び優勢になる。
出典: CNBC (2021-04-09) / TechCrunch (2021-04-09)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8
滴滴(DiDi)上場直後にアプリ削除命令——CAC、データ安全を根拠に
6月30日のIPOからわずか2日後の7月2日、CACが滴滴に対しアプリストアからの削除命令を発令。「国家データ安全リスクの防止と国家安全保護」を理由とし、同社のユーザーデータ収集が法令違反と認定した。これは海外上場した中国企業がデータ安全を理由に即座に制裁を受けた前例となり、KWEBの組み入れ銘柄全体への規制リスクとして市場が再評価した。7月6日にKWEBは-5.2%下落。
出典: South China Morning Post (2021-07-05) / Business Wire (2021-07-04)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
双減規制で教育株が壊滅——中国テック全体が連鎖暴落-9.6%
7月23〜24日、国務院が「双減」政策を正式発令。義務教育段階でのK-12向け営利学習塾の事実上全面禁止、既存事業の非営利法人化義務、株式上場・外資調達の禁止という内容は市場の想定を大幅に超えた。新東方・TALなど教育株が1日で50〜80%超暴落。KWEBは7月23日-8.8%、7月26日-9.6%と連続急落し、**2月高値比-52%**となった。テンセントは同週に独禁制裁・美団はフードデリバリー規制の追い打ちを受けた。
出典: Wikipedia (2021-07-24) / CNN Business (2021-07-27)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8
反発:当局シグナルと押し目買い殺到でKWEB+10.2%
急落から2日後の7月28日、KWEBは+10.2%と急反発。当局が一部メディア経由で「規制は長期安定を目指すもの」とのトーンを出し、パニック売りが一巡。KraneShares への資金流入が急増し、同ETFは1日で約3億ドルを超えるインフローを記録した。ただし翌週以降に再び安値を更新しており、この反発は底入れでなかった。
出典: Nasdaq / ETF Trends (2021-07-28)
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官製メディア「ゲームは精神的アヘン」——テンセント急落・KWEBも連鎖安
8月3日、経済参考報(新華社系)がオンラインゲームを「精神的アヘン」と表現しテンセントの「王者栄耀」を名指し批判。テンセントは香港市場で約10%急落し、KWEBも連動安。記事は後に削除されたが、「今度はゲーム産業が規制の標的になる」という強い不安が広がった。実際に8月30日には未成年のオンラインゲームを週3時間(金土日各1時間)に制限する規制が発令された。
出典: CNBC (2021-08-03)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 8
規制波収束期待で大幅反発——KWEBが+11.0%と期間最大の上昇
8月19日に期間安値(36.70ドル)をつけた後、8月24日にKWEBは+10.95%と期間最大の一日上昇を記録。「規制の峠は越えた」という期待から機関投資家の押し目買いと大規模なインフローが流入し、KWEBの残高はiShares MSCI China ETF(MCHI)を抜いて中国ETF最大となった。しかし2022〜2023年にかけてKWEBはさらに下落する。本シナリオはここで終わる。
出典: Nasdaq (2021-08-27)
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 6