このシナリオでは地政学(外部要因)が主役だ。ロシアのウクライナ侵攻(2022/2/24)を起点に、ドイツのZeitenwende・NATOの防衛費増額表明・米議会の軍事支援法という一連の外部イベントが防衛ETFを押し上げた。一方、後半はFRBの急速利上げというマクロの外部要因が逆風となり、期間を通じると-5.7%で終わった。各イベントを読み解くことで、外部要因が株価をどう動かすかの構造を学べる。
ロシア、ウクライナへ全面侵攻開始
2022年2月24日、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した。通常、地政学的危機は「リスクオフ」として市場全体を下押しするが、防衛株は真逆の反応を示した。ITAは当日+2.75%と広義市場(SPY)が下落する中で逆行高となり、翌2/25も+3.01%と続伸した。戦争→国防費増加→防衛企業の受注増という将来期待を市場は即座に株価へ織り込んだのだ。
出典: Reuters (2022-02-24) / ETF Trends (2022-02-24)
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ドイツ Zeitenwende 演説 — 国防費GDP2%超・1000億ユーロ特別基金
2月27日(日)にショルツ首相が議会で歴史的なZeitenwende演説を行い、翌2月28日(月)にITAが+3.97%と急騰した。この日の出来高は通常の約10.5倍と期間中最大の異常値を示した。ドイツは長年NATO加盟国の中でも国防費をGDPの2%未満に抑えてきたが、Zeitenwendeは1000億ユーロの連邦軍近代化特別基金と共に、この姿勢を根本から転換するものだった。単なるニュースではなく、欧州防衛費の構造が恒久的に変わるという市場の確信が出来高急増として現れた。
出典: Wikipedia (2022-02-27) / Nasdaq (2022-03-02)
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バイデン大統領、ウクライナへの追加軍事支援8億ドルを発表
ゼレンスキー大統領の米議会演説翌日、バイデン大統領は対空システム・対装甲システム・小火器・砲弾を含む8億ドルの追加軍事支援を発表した。この支援パッケージは、米国が今後も防衛企業の製品を大規模調達し続けるという明確なシグナルだ。抽象的な「戦争の長期化」でなく、具体的な装備品・金額が明示された政府発表が防衛株の受注見通しを改善する——これが外部(地政学)要因が内部(業績)要因の先行指標として機能する典型的な仕組み。
出典: Axios (2022-03-16) / CNBC (2022-03-16)
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ITA 期間高値 $109.10 — NATO首脳会合・防衛費増額の継続表明
3月24日のNATO臨時首脳会合でNATO各国は防衛費投資誓約の完全履行を加速することで合意した。この翌25日にITAは$109.10(期間最高値)をつけた。侵攻(2/24)から約1ヵ月で+8.2%のリターンを達成したことになる。しかし地政学的好材料が出そろったこの時点が高値となった。以降は「さらなる上振れ材料の不在」と「利上げ懸念の台頭」が上値を抑え始めた。
出典: NATO (2022-03-24) / Belgium.be (2022-03-24)
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ウクライナ民主主義防衛レンドリース法が成立 — しかし市場は-4.44%
防衛株にとってポジティブなはずのレンドリース法成立(5/9)の日に、ITAは-4.44%と期間最大の下落を記録した。同日のS&P500も-3.2%の急落で2022年最安値を更新した。Fed利上げへの警戒と中国のゼロコロナロックダウンによるインフレ長期化懸念が重なり、市場全体がリスクオフに振れた。個別セクターの好材料がマクロのリスクオフに敗北した典型であり、「良いニュース=株価上昇」という単純な図式が通じない瞬間だ。
出典: CNBC (2022-05-09) / CBS News (2022-05-09)
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CPI 8.6% 確認でFOMCへの警戒が急騰 — ITA -3.74%
5月のCPI(前年比8.6%)を受け、翌週のFOMCで75bp超の利上げ観測が急浮上した。S&P500がベア相場入りを確認し、ITAも-3.74%と連れ安。防衛株といえどもマクロの金利上昇リスクから完全に切り離されているわけではない。地政学的追い風はあくまで「一方向の傾き」を作るだけで、強力なマクロ逆風には抗えないことが示された。
出典: Wikipedia (2022-06-13) / TheStreet (2022-06-13)
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FRB が 75bp 利上げ — ITA -3.38%、期間安値 $90.71
FOMCが1994年以来最大の75bp利上げを実施し、市場全体がリスクオフとなった。ITAは-3.38%と期間安値$90.71を記録し、高値$109.10から約-17%の水準まで失った。地政学的追い風(侵攻・Zeitenwende)を引力とした上昇相場は、利上げという「引力の反転」で終わった。期間通算リターン-5.7%は、強力な地政学的材料があっても後半のマクロ逆風が上回った結果だ。
出典: Bankrate (2022-06-16) / Al Jazeera (2022-07-27)
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ウクライナへの $40 億ドル支援成立後の反発 — ITA +3.19%
議会が可決した約400億ドルのウクライナ追加支援(5月成立)の継続効果と、FOMCショック後のテクニカルな過売り反発が重なり、ITAは+3.19%と反発した。底打ち後の技術的反発と地政学的好材料の重なりは、下落局面での買い戻しを加速させやすい。ただしこの反発が新たなトレンド転換か一時的な戻りかは、その後のマクロ環境(利上げペース)次第で判断が変わる。
出典: NPR (2022-05-19) / NPR (2022-05-10)
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