このシナリオは2022年のブラジル株ETF(EWZ)を題材に、地政学リスク(選挙) と マクロ環境(コモディティ価格・FRBの利上げ) という外部要因がETFの値動きをどう動かすかを学ぶ教材だ。各イベントを読む際は「これはどの軸(外部・内部・テクニカル)の話か」「誰が勝者で誰が敗者か(輸出国 vs 輸入国)」という問いを持ちながら読み進めてほしい。
ロシア・ウクライナ侵攻でコモディティ急騰——ブラジル株は逆行高
2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻後、原油・鉄鉱石・穀物が歴史的急騰を記録した。世界銀行は「ウクライナ戦争によるコモディティ価格急騰は数年間続きうる」と警告したほどの水準だった。ブラジルはペトロブラス(石油)・ヴァーリ(鉄鉱石)・アグリビジネスを主要輸出とするコモディティ輸出国であり、同じ地政学ショックで欧州・アジア株が下落するなかEWZは相対的に強く推移した。3月7日の-3.67%は停戦協議への期待と失望による揺り戻しだが、この週全体ではブラジルが新興国トップのパフォーマーとなった。
出典: World Bank (2022-04-26) / Bloomberg (2022-03-21)
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EWZ年内高値$29.06——コモディティブーム全盛とボルソナロ選挙向け財政対策
4月4日にEWZは$29.06の年内最高値を記録した。WTI原油は100ドルを超え、ヴァーリの鉄鉱石輸出も高収益局面にあった。ボルソナロ大統領は選挙前対策として燃料税減免・ディーゼル補助金などを打ち出し、短期的な消費刺激が加わった。この高値は後から見れば「良材料の全部乗せ」局面で、4月以降は原油の反落とFRBの利上げ加速で下落に転じる。
出典: U.S. Energy Information Administration (2023-01-17) / Bloomberg Línea (2022-06-09)
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FRB 75bp利上げ観測でグローバルリスクオフ——EWZ -4.95%
6月13日の米CPI(前年比8.6%)が予想を上回り、FRBの6月FOMCでの75bp大幅利上げが確実視された(6月15日に実施)。世界的なリスクオフが加速し新興国全体が売られ、EWZも-4.95%の大幅安となった。コモディティ高という追い風があっても、FRBのタカ派転換はブラジル株を無差別に巻き込んだ。 ドル高がレアル換算のリターンを押し下げ、新興国からの資本流出が実際に起きていた。
出典: Federal Reserve (2022-06-15) / CNBC (2022-11-10)
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FRB 9月75bp利上げ後のドル高——新興国売りでEWZ -4.72%
9月21日のFOMCで3回連続の75bp利上げを実施(政策金利3.00〜3.25%)。パウエル議長が「インフレが鎮まるまで利上げを続ける」と明言したことでドルインデックスが20年ぶりの高水準に達し、9月26日(月曜)にEWZは-4.72%急落した。選挙を6日後に控えた時期でもあり、政治リスクと金融リスクが重なったタイミングだった。新興国ETFへの投資においてFOMC日程は必須のカレンダー管理項目となる。
出典: CNBC (2022-09-21)
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ブラジル大統領選第1回投票——ボルソナロ善戦でEWZ +9.85%
10月2日の第1回投票でルラ48.4%、ボルソナロ43.2%と予想外の接戦となり決選投票(10/30)へ。世論調査でルラの第1回勝利を多くが予測していたため、結果は大きなサプライズとなった。10月3日のEWZは$22.83→$25.05へ+9.85%急騰(出来高1.9倍)。市場はルラの急進的な財政政策が「即座に実行されるリスク」が後退したと判断した。 ペトロブラス・ヴァーリなどEWZ主要銘柄も軒並み急騰した。
出典: NPR (2022-10-02) / InvestorPlace (2022-10-03)
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決選投票: ルラ僅差当選——平和的移行でEWZ +3.88%
10月30日の決選投票でルラが50.9%対49.1%で僅差当選(TSE公式)。史上最接戦の選挙は暴力や混乱なく終わり、10月31日のEWZは+3.88%上昇した。ルラ当選自体は既に市場がある程度織り込んでいたため、急騰はなく小幅高にとどまった。Bloomberg は「投資家は選挙プロセスの平和的終了を歓迎した」と伝えた。一方で財政政策への懸念はこの時点でまだ価格に十分織り込まれておらず、次の急落の種となった。
出典: NPR (2022-10-30) / Bloomberg (2022-10-31)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
ルラ財政拡張策の懸念——EWZ -6.53%、レアルも急落
ルラの政権移行チームが財政支出上限(テト・デ・ガストス)を超える大型社会支出を正式に示唆し、ブラジルの財政規律崩壊リスクが顕在化した。ブラジルレアルは1日で約3.4%急落、IBOVESPAは3%超安、EWZは-6.53%となった。同日の米国CPI(7.7%、予想下回る)は世界株に好材料だったが、EWZはブラジル固有の政策リスクで逆行安となった。選挙後のハネムーン期間はわずか10日で終わり、政策の中身が価格に反映され始めた。
出典: Bloomberg (2022-11-10) / CNBC (2022-11-10)
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