このシナリオでは、2022年を通じて-31%超下落したドイツ株ETF(EWG)の値動きを、チャート上の8つの出来事に分解します。値動きの主役は**外部要因(地政学・マクロ)**で、ロシアのウクライナ侵攻→Nord Stream供給段階的削減→完全停止というエネルギー危機の連鎖がドイツというロシア依存度の高い国の株式を直撃しました。チャート上のマーカーは、各イベントの出来事と日付を示しています。
ロシアがウクライナに全面侵攻(2/24)— EWGは侵攻週に急落
2022年2月24日、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始しました。侵攻当日にドイツのDAXは約-4%と欧州主要指数の中でも最大級の下落を記録し、EWGも同週に-3.32%(2/28終値26.38ドル)と大きく売られました。市場が即座にドイツのロシア産エネルギー依存という構造的脆弱性を値付けした典型的な地政学ショックの局面です。ロシアは欧州の天然ガス需要の約35%、ドイツ単独では約50〜55%を供給しており、供給途絶のリスクは侵攻前から存在していたものの、株価には完全に織り込まれていませんでした。
出典: CNBC (2022-02-24)
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侵攻1週間後、エネルギー制裁・ドイツ切り離し懸念でEWG -5.37%
侵攻から1週間、西側諸国の対ロシア制裁が矢継ぎ早に打ち出される中で、エネルギー供給への波及リスクが急速に織り込まれました。欧州のスポットガス価格は一時+400%超へ急騰し、ドイツ国内では冬季の暖房・発電が危機に瀕するという恐怖が広がりました。EWGは-5.37%(終値23.48ドル)と期間中の最大1日下落を記録。ドイツはロシアへのエネルギー依存度が欧州最高水準という構造リスクが、全ての打撃を最大化させました。
出典: Clean Energy Wire (2022-03-04) / World Economic Forum (2022-02-25)
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停戦協議期待・原油急落でEWG +7.87%と急反発
3月9日、ロシア・ウクライナ間の停戦交渉に進展があるとの報道が流れ、原油価格も急落しました。エネルギーショックが和らぐ期待からEWGは+7.87%(終値25.12ドル)と期間中最大の1日上昇を記録しました。地政学リスクは双方向です。-5.37%の急落からわずか5日後に+7.87%の急反発が起きたことは、EWGの値動きがほぼ完全に外部要因(戦況・停戦期待・エネルギー価格)によって支配されていたことを示しています。企業業績ではなく、地政学の情勢だけで株価が大きく動いた典型例です。
出典: Brookings Institution (2022-09-01)
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ドイツがガス非常事態計画の第2段階(警戒)を発動
6月14日、GazpromはNord Stream 1の供給量を突然60%削減(技術的問題を理由)しました。6月23日、ドイツのハベック経済相は「ガスは今や希少品だ」と発言し、ガス非常事態計画の第2段階(警戒)を発動。第3段階のガス配給まであと1段階という現実が市場に緊張感を与えました。EWGは6月13日に-3.46%を含む下落が続き、Nord Stream 1の完全停止へ向けた不可逆的な流れに入ったことを市場は認識し始めました。
出典: Al Jazeera (2022-06-23)
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Nord Stream 1の定期点検停止、再開の不透明感でEWG -4.04%
Nord Stream 1は7月11〜21日の定期点検のため停止しましたが、市場が恐れたのは「点検を口実に供給が永続的に停止されるリスク」でした。6月14日の一方的な削減に続き、ロシアが天然ガスを地政学的な武器として使用するという認識が定着しつつある中、EWGは7月5日に-4.04%(終値20.65ドル)を記録しました。実際、Nord Stream 1は7月21日に20%という極めて低水準での再開後、最終的に9月2日に無期限停止となりました。
出典: Brookings Institution (2022-07-13) / Wikipedia(一次資料集積)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
GazpromがNord Stream 1を無期限停止(9/2)、ECBが75bps利上げ(9/8)
9月2日、GazpromはNord Stream 1のガス供給を無期限停止と発表。G7が対ロシア石油価格上限の合意に動いていた直後で、市場はロシアの報復と捉えました。6日後の9月8日、ECBはユーロ圏のCPIが9.1%(過去最高)に達したことを受けて75bpsという記録的な大幅利上げを断行しました。エネルギー由来のインフレを金融引き締めで対応しようとしながら、同時にエネルギー危機で経済も失速するというジレンマ——EWGは9月13日に-4.17%、9月27日に2022年安値18.24ドルへと追い込まれました。
出典: CNN Business (2022-09-02) / CNBC (2022-09-08) / European Central Bank (ECB) (2022-09-08)
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OECDがドイツの2023年景気後退を予測(9/26)、ifo指数急落
9月26日、OECDは「Paying the Price of War」報告書でドイツが2023年にGDP**-0.7%の景気後退に陥ると予測しました。同日発表のifoビジネス気候指数も84.3と2020年5月以来の低水準へ急落。EWGは9月23日-4.02%、9月27日には期間中の最安値(18.24ドル)を更新しました。地政学(Nord Stream停止)→エネルギー危機→企業信頼感の崩壊→国際機関の景気後退予測という外部要因の連鎖**が完成した局面です。
出典: Euronews (2022-09-26) / ifo Institute (2022-09-26)
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ドイツが200億ユーロの防衛シールドを発表(9/29)→ EWG +5.24%と急反発
9月29日、ショルツ首相が総額200億ユーロの「エネルギー防衛シールド」(ガス価格ブレーキ・電力価格ブレーキ・ガス消費税7%引き下げ)を発表しました。これが引き金となり、EWGは10月4日に+5.24%と急反発。その後2022年底から+47%超の反発局面が始まりました。欧州全体のガス備蓄が想定以上のペースで目標水準に達したことも、ガス配給という最悪シナリオの後退を市場に確信させました。下落が外部要因(地政学・エネルギー)主導なら、反発のきっかけも外部要因の改善(政策対応・代替供給)から来ることを示す教材です。
出典: CNBC (2022-09-30) / German Federal Government (Bundesregierung) (2022-09-29)
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