このシナリオでは、約1年強で株価が約2倍になったBroadcom(AVGO)の値動きを、チャート上の8つの出来事に分解します。マーカーは色が所属する軸(外部=アンバー / 内部=エメラルド / テクニカル・需給・心理=バイオレット)、ラベルが出来事の内容を表します。各マーカーは下の同じ日付の解説と対応します。好決算で+24%上昇する日(e1)と、もっと良い決算で-11%下落する日(e8)の対比が最大の学びです。
FQ4決算でAI市場見通しを提示 — 翌日+24%、初の時価総額1兆ドル
2024年12月12日引け後、第4四半期(FY2024)決算を発表。年間AI売上は前年比**+220%の122億ドル**、custom AIアクセラレータとネットワークの2027年想定市場(SAM)を600〜900億ドルと提示し、複数のハイパースケーラーが数百万個のXPU購入を計画していると説明しました。翌13日、株価は出来高を伴い約+24%のギャップアップ。時価総額は初めて1兆ドルを突破し、Broadcom史上最大級の上昇日になりました。VMwareの安定収益とAI半導体の伸びが噛み合い、NVIDIAに次ぐ「カスタム陣営の本命」として一気に再評価された、本シナリオの起点です。
出典: SEC EDGAR (2024-12-12) / CNBC (2024-12-13)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
DeepSeekショックで半導体一斉安 — AVGOも-17%
2025年1月27日、中国のDeepSeekが「低コストで高性能」とされるAIモデルを公表したことを受け、AI設備投資は過剰ではという懸念が一気に広がりました。NVIDIA(約-17%)を筆頭に半導体が一斉に急落し、Broadcomも当日**約-17%**下落。Broadcom自身の業績とは無関係でも、半導体はセクター全体のセンチメント(外部・需給)に大きく左右されます。AI設備投資の持続性への疑念は、カスタム陣営にとっても無効化条件の一つです。
出典: CNBC (2025-01-27)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 2
FQ1決算 — AI売上+77%でガイダンス継続、決算翌日に反発
3月6日引け後の第1四半期(FY2025)決算は、売上149億ドル(+25%)、AI売上**+77%(41億ドル)。第2四半期のAI半導体売上を約44億ドルと見通しました。決算前日(3/6)は地合い悪化で下げていましたが、AI需要の継続とガイダンスを好感し、翌7日は約+8.6%**反発。マクロの逆風下でも、内部の強さが効くと切り返すことを示すイベントです。
出典: SEC EDGAR (2025-03-06)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
関税ショックからの急反発 — Liberation Day後の乱高下
2025年4月初、トランプ政権の相互関税(いわゆるLiberation Day)で半導体が急落(4/3は約-10.5%)。その後4月9日に関税の一時停止報道で市場全体が急反発し、AVGOは**約+18.7%**戻しました。半導体は当初関税から除外されたものの、「追って関税」という発言で不確実性が残り、翌10日には再び下げるなど乱高下。外部(地政学・通商)ショックは個別業績と無関係に株価を大きく揺らし、こうしたボラティリティに耐えるリスク管理(ポジションサイズ)の重要性を教えます。
出典: The Motley Fool (2025-04-10) / Investing.com
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
FQ3決算 — AI+63%、第4の大口顧客から$10B受注で+9%
9月4日引け後の第3四半期(FY2025)決算は、売上約16.0億ドル(+22%)、AI売上**+63%(52億ドル)。決算電話会議で、第4の大口顧客から100億ドル規模のXPU受注を獲得したと公表し、翌5日に約+9.4%**上昇しました。決算(実績)に対し、大口受注は「将来の確度の高い需要」を補強する内部材料です。ただしこの顧客は当時「OpenAIか」と報じられ、後にBroadcom側から否定的な訂正も出ました——噂段階の固有名は断定せず、一次資料で確認する姿勢が大切です。
出典: CNBC (2025-09-05) / SEC EDGAR (2025-09-04)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
OpenAIと提携 — 10GWのカスタムAIアクセラレータ共同開発で+10%
10月13日、BroadcomとOpenAIが、OpenAIが設計するカスタムAIアクセラレータ10ギガワット分を共同開発・展開する戦略提携を発表しました。Broadcomのラックは同社のEthernet等で接続され、展開は2026年後半開始予定。株価は**約+9.9%**上昇。NVIDIA・AMDに続いてOpenAIの計算調達先にBroadcomが加わり、「カスタム陣営の本命」という物語を実需で裏打ちしました。これは“将来の”成長ドライバーであり、足元売上そのものではない点には注意が必要です。
出典: Broadcom IR (2025-10-13) / CNBC (2025-10-13)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
Gemini 3/Google TPU期待で半導体反発 — AVGO+11%
11月のAI過熱論で半導体が調整した後、AlphabetのAIモデルGemini 3の好評と、Google向けカスタムチップ(TPU)の受託拡大期待が重なり、11月24日に半導体が反発。Broadcomは当日**約+11%上昇しました。Broadcomは「Googleのカスタムチップ受託」という連想でも買われ、決算がない日でも顧客・提携先の好材料がテーマ物色(センチメント・需給)**として波及します。裏を返せば、こうした連想は剥落も早いものです。
出典: Reuters / Investing.com (2025-11-24)
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 6
FQ4決算は過去最高・730億ドルのバックログ — なのに翌日-11%
12月11日引け後の第4四半期(FY2025)決算は、売上180億ドル(+28%)、AI半導体売上**+74%、そして18か月で消化する730億ドルのAIバックログを提示した圧巻の内容でした。それでも翌12日は約-11%急落——1月以来の最悪の一日に。背景は、(1) 既に株価が1年で2倍超に上げ期待が極端に高かったこと、(2) AI比率の上昇で粗利率が約100bp低下する見通し**だったこと、(3) Oracle・NVIDIAにも波及した『AI angst(AIトレードの過熱・反動)』。過去最高の決算でも、期待を超える上振れや懸念の払拭がなければ売られる——e1(+24%)との対比こそ、本シナリオ最大の学びです。株価は実績ではなく「期待とのギャップ」で動きます。
出典: CNBC (2025-12-12) / SEC EDGAR (2025-12-11)
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 5