このシナリオでは、約1年半で約-74%下落したARKKの値動きを、チャート上の6つの出来事に分解します。NVIDIAが『内部要因(決算)』主導で上昇したのとは対照的に、ARKKはETFという器に内部の上昇エンジンがなく、外部(金利・インフレ・FRB)の逆風が値動きを支配しました。マーカーは色が所属する軸(外部=アンバー / 内部=エメラルド / テクニカル・需給・心理=バイオレット)、ラベルが出来事の内容を表します。各マーカーは下の同じ日付の解説に対応します。
天井 — 熱狂のピーク(終値$154)
2020年に約+150%という驚異的リターンを上げ、個人マネーの殺到でAUMと出来高が急膨張したARKKは、2021年2月12日に終値ベースの最高値$154付近で天井を打ちました。この時点でARKK自体に悪いニュースはありません。にもかかわらず、ここが約1年半・約-74%に及ぶ崩壊の起点になります。放物線的な急騰とAUMの急増は、ファンダではなく需給・心理の過熱サインとして読むべき局面でした。
出典: Morningstar
所属軸: テクニカル・需給・心理 ・ カテゴリ 5
金利1.5%超え — 崩壊トレンドの起点
天井の直後、2月25日に7年債入札の不調をきっかけに10年国債利回りが約1年ぶりに1.5%を突破しました。利益が遠い将来に偏る長デュレーションのグロースは、割引率(長期金利)の上昇に最も弱く、ARKKは当日約**-6.4%**下落。これがダウントレンドの実質的な起点です。好材料・悪材料といった個別要因ではなく、金利という外部マクロが天井を崩した——NVDA(内部=決算主導)の対極にある、外部支配型のシナリオであることを象徴する一日です。
出典: Benzinga / AOL (2021-02-25) / Federal Reserve
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
FOMC議事要旨でタカ派化 — 2022年崩落の号砲
2021年は横ばい〜緩やかな下落でしたが、2022年1月5日、12月FOMCの議事要旨で利上げの前倒しと早期のバランスシート縮小(QT)が示唆されると流れが一変。ゼロ金利という大前提が崩れる報せは、長デュレーション資産にとって最悪です。当日ARKKは約-7.1%、Nasdaqも-3%超下落し、これが2022年の本格的な崩落の号砲となりました。FRBの方向が変わると、グロースの前提条件そのものが書き換わります。
出典: Kiplinger (2022-01-05) / CNBC (2022-01-06)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
ロシア侵攻 — 急落からの劇的リバーサル
2月24日、ロシアのウクライナ侵攻で主要指数は寄り付きで大きく下落しました。ところが場中に劇的に切り返し、ARKKは終値で約**+7.8%(Nasdaqも+3.3%)と2022年最大の上昇日に。地政学ショックは初動で売られても、悪材料の出尽くし感や制裁の織り込みで急反発しうる、という好例です。ただしこの急騰は底打ちではなく、ベアマーケットの戻り**に過ぎず、その後ARKKはさらに深い安値を更新しました。短期の急騰を底打ちと誤読しない視点が問われます。
出典: TheStreet (2022-02-24) / CNBC (2022-02-24)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7
50bp利上げ翌日の崩落 — 出来高ピークの投げ売り
5月4日、FRBは22年ぶりの50bp利上げと6月からのQT開始を決定。Powell議長が「75bp利上げは積極的に検討していない」と述べて当日は安心ラリーが起きましたが、翌5月5日はそれ以上に売られ、Nasdaq -5%、ARKKは約**-8.9%。5月はARKKの出来高がピーク**を付ける投げ売り(キャピチュレーション的な需給)となりました。タカ派局面での安心ラリーは脆く、出来高急増を伴う急落はベア相場の典型パターンです。
出典: CNBC (2022-05-05) / Federal Reserve (2022-05-04)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
CPI 8.6%ショック — 弱気相場入りと本シナリオの底
6月10日に発表された5月CPIが8.6%(40年ぶりの高水準)となり、「インフレはピークアウトする」という最後の望みが断たれました。週明け6月13日、Nasdaqは-4.7%、S&P500は高値から20%超下落して弱気相場入り。ARKKは約**-8.8%**下落し、本シナリオ期間の終値最安値$36(ピークから約-76%)を記録しました。直後の6月15日にFRBは75bp利上げを実施。インフレと金利という外部マクロが、最初から最後まで値動きを支配したことを締めくくる一日です。
出典: CBS News (2022-06-13) / U.S. Bureau of Labor Statistics
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3