このシナリオでは、2018年秋から2019年前半にかけてのAppleの急落と回復を、チャート上の6つの出来事に分解します。チャート上のマーカーは色が所属する軸(外部=アンバー / 内部=エメラルド / テクニカル・需給・心理=バイオレット)、ラベルが出来事の内容(決算・下方修正・関税など)を表します。値動きの主因は『内部要因』に集中しますが、その内部要因の中身は中国減速と貿易摩擦という『外部要因』が原因——軸の連鎖を読むのがこのシナリオの肝です。価格は2020年8月の4:1株式分割で調整済みのため、見かけの株価は当時の実取引価格より低く表示されます。
Q4決算とiPhone台数の開示中止 — 翌日-6.6%
2018年11月1日引け後、第4四半期(FY2018)決算は売上629億ドル(前年比+20%)と好調でした。ところが決算電話会議でCFOのルカ・マエストリが、翌四半期からiPhone・iPad・Macの販売台数開示をやめると表明。市場は「台数の減速を隠す動き」と受け取り、翌2日に株価は**-6.6%下落しました。数字は良くても、重要指標の開示後退という内部の姿勢**が嫌われた典型例で、ここで芽生えた不信が約2か月後の下方修正ショックの伏線になります。
出典: SEC EDGAR (2018-11-01) / CNBC (2018-11-01)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
ベア相場入りの『最悪のクリスマスイブ』
12月24日、S&P500は直近高値比で約-20%に達し、一時ベア相場入りしました。FRBが12月19日にその年4回目の利上げを実施し引き締め継続を示したこと、世界景気減速と米中貿易摩擦への懸念が重なり、市場全体が急落した局面です。Apple固有の悪材料にマクロの全体安が重なって下げが増幅されており、個別株の下落は銘柄要因とマクロ地合いを分けて読む必要があることを示します。この安値圏は、約10日後の下方修正でさらに更新されます。
出典: CNBC (2018-12-24)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 3
2007年以来初の売上見通し下方修正 — 当日-10%
1月2日引け後、ティム・クックが投資家向け書簡で当四半期の売上見通しを840億ドルへ引き下げました(従来890〜930億ドルから約90億ドル減)。下方修正は2007年のiPhone発売以来初で、主因は中国(Greater China)でのiPhone需要鈍化。翌3日に株価は約-10%(-9.96%)のギャップダウンとなりました。引き金は外部(中国減速・貿易摩擦)ですが、それが会社自身による異例の下方修正という内部イベントとして表面化した瞬間に売られた点が核心です。同日のS&P500(-2.39%)を大きく上回ったことが、これがマクロ全体ではなくApple固有のショックだったことを物語ります。
出典: SEC EDGAR (2019-01-02) / CNBC (2019-01-02)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
Q1決算とサービス過去最高 — 出尽くしで翌日+6.8%
1月29日引け後の第1四半期(FY2019)決算は、売上843億ドル(前年比-5%)と1月2日の予告どおりでした。注目はサービス売上が109億ドルと過去最高を更新した点。売上悪化は下方修正で既に織り込み済みだったため出尽くしで反発し、翌30日に株価は**+6.8%上昇しました。悪材料は“発表時”ではなく“予告時”に織り込まれること、そしてiPhone以外の別の成長軸(サービス)**が評価の支えになることを学べます。
出典: SEC EDGAR (2019-01-29) / 9to5Mac (2019-01-29)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
Q2決算と750億ドルの自社株買い — 翌日+4.9%
4月30日引け後の第2四半期(FY2019)決算は売上580億ドル(前年比-5%)と減収ながら、サービスは115億ドルと再び過去最高を更新。あわせて750億ドルの自社株買い枠を承認し増配も発表しました。翌5月1日に株価は**+4.9%**上昇。下落局面を作った内部要因(成長鈍化)を、サービス成長と大規模な資本政策という別の内部要因が打ち消した、回復の主役となるイベントです。
出典: SEC EDGAR (2019-04-30) / Apple World Today (2019-04-30)
所属軸: 内部 (企業・業界ファンダ) ・ カテゴリ 1
中国の報復関税で再下落 — 当日-5.8%
5月10日に米国が対中関税を25%へ引き上げたことを受け、5月13日に中国が600億ドル相当の米国製品への報復関税を発表。ナスダックは年初来最大の下落となり、生産・販売の両面で中国依存度の高いAppleは指数以上に売られ、当日**-5.8%**下落しました(同日SPYは-2.51%)。サービスや自社株買いという内部の回復材料があっても、外部(地政学・貿易摩擦)ショックが短期の主役になりうることを示すイベントです。
出典: The Washington Post (2019-05-13) / CNBC (2019-05-13)
所属軸: 外部 (マクロ・環境) ・ カテゴリ 7